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1カラットの奇跡 第五話 光の矢(1)

 六月も末になった。そして、朝から滝のような雨だった。やはり、その時期は会社に行くのが辛い。しかも、月曜日はつまらない定例のミィーティングがある。そう思った和也は、足が重かった。
何時ものように、和也は裕子と会社に到着した。二人は何時の間にか、大胆にも堂々と腕を組んで出社するようになっていた。
既成事実とは怖いもので、和也も最初は鬱陶しく感じていたが、最近は何も感じずに極自然の振る舞いとして定着している。社内でも、すっかり広まっており、公然の仲として、ほぼ認められるようになっていた。
 和也はエレベータホールで裕子と別れてフロアーに着いた。彼はパソコンの電源を入れて、メールのチェックを始めていた。クライアントから、苦情のメールが何通か入っている。適当な言い訳を考えて、返事のメールを打っていた。
突然、GⅠファンファーレが鳴った。和也は周りの目を気にして、急いでベランダに出た。そして、彼は携帯を取った。
「やっほー、優希だよ!」
朝からテンションの高い声が、和也の耳を突き刺した。
「おう、また横浜に来たのか」
「違うの。まだ、佐世保なの。でもね。今回は日曜日が、まる一日、移動日になるの。店長からそれを聞いて、嬉しくて電話したの。メンゴです」
「ほう、それが、そんなに嬉しいことなのか」
「そうだよ。だって、一日フリーだから、念願のラビットワールドに行けるもん」
「そうか、それは良かったな」
「それでは、日曜の朝九時に羽田に迎えに来てね。ラビットへ案内してね」
「えっ、俺もラビットワールドに行くのか?」
「当たり前だよ! そっちの知り合いは、和也さんしかいないから。お願いね」
 優希は少し怒って、最後は子供がおねだりするように頼み込んだ。
「うむ、高校生のデートのようで、気乗りしないな。それに、毎週日曜日は、重要な用事があるからな」
「重要な用事って、どうせ競馬でしょ。そんなの携帯で買えば問題ないよ。ラビットはね、私の大切な憧れなの。連れて行ってくれないのなら、飛行機で和也さんのマンションに突っ込んでやるからね。うぇ~ん」
優希は嘘泣きを始めていた。
「分かった。泣くな。行けばいいんだろう」
「やった! 和也さん、大好き! ありがとう。それでは、楽しみにしていますね。バイビー」
 ほとんど、優希の迫力に押されて、千葉にあるテーマパークのラビットワールドという場違いな所へ行くことを和也は了解した。二十代前半の頃、当時の彼女と行ったきりで、それ以来、そんな所には縁がなかった。それに、その歳でそこに行くのは、何か照れを感じる。それより、日曜は裕子と競馬に通っている。しかも、その週は春の総決算の宝塚記念だった。彼がパスするのは、あまりにも不自然過ぎる。どうしたものかと、彼はマルボロに火をつけた。思案した挙句、祖父の法事で千葉の実家に戻ることにしようと彼は考えていた。

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