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1カラットの奇跡 第十話 ペンダントよ、青く光れ!(6)

 和也は、まだ床に両膝をついていた。彼は何かを思い出したように、胸からペンダントを取り出した。そして、両手で強くつかんで、顔の前で念じた。
しかし、ペンダトに反応は何もなかった。
和也は再び心の中で強く、
「ペンダントよ、青く光れ!」と叫んだ。
それでも、何も反応はなかった。
 和也は、呆然と光らないペンダトを見つめていた。何故、一番大事なときに光らない。もう、パワーが無くなったのか。彼は、そう思った。
そして、和也は、それまで随分と運の無駄使いをしていたと心の中で振り返っていた。十年間、ギャンブルで一喜一憂を楽しんで浪費をした。だから、肝心なときに光らない。もう、ギャンブルは止めようと、彼は心に誓った。
 和也は、もう必要のなくなったペンダントを、ゆっくりと優希の首から掛けた。そして、最後の別れをするように、彼女の頭をそっと撫でていた。
「俺に、最後の試験を受けさせろ! 約束だぞ。何とか言え!」
そう彼は怒鳴って、また泣き崩れていた。

 そのとき突然、優希の胸に置かれているペンダトが、青く輝き始めた。その光は、彼女の体を、胎児のように優しく包み込んで、全身を青で染めている。その青さは段々と増していた。
その青さが頂点となったとき、ペンダントの1カラットのダイヤモンドが砕け散った。そのかけらの細かい粒子達は、ゆっくりと渦を巻いて、窓から天空へと飛び出した。そして、それらは赤い星に吸収されていた。
赤い星も、みるみると巨大に膨れている。そして、その星は爆発した。その爆風は、多くの赤い光を地上に送っている。その光の全ては、病室を覆いつくして、強い衝撃波で三人は気絶した。

 やがて、その部屋には、雪解けを告げるような朝日が、静かに差し込んでいた。小鳥の囀りも流れている。しかし、三人は、まだ床で倒れて眠っていた。
「和也。おはよう。試験合格だね」
 何故か、優希はベッドの上で上半身を起こしている。そして、左手の指輪を和也の方に向けて、けろっとした笑顔で、彼を呼んでいた。
その声に気がついた和也は飛び起きた。そして、彼は顔を何回も叩いている。夢ではない。そう思うと、彼の胸には超新星爆発のような熱い安堵の心が湧き出して、彼女を手厚く抱きしめていた。
そして、感涙に噎ぶ母親と豊美も、優希を囲んで頬を擦りつけて、踊っていた。
空には大きな眩しい太陽が輝いて、カモメが優雅に舞っていた。

 三年後、二人は佐世保のアーケードの外れに、赤レンガの小さなブティックを出していた。そこには、彼女の天然で楽しそうな笑顔が広がっていた。
彼女が選ぶ服のセンスは、二十代前半の女性に受けていた。狭い店内は若い女性客で賑わっている。そして、彼はそろばんを弾いて、商品の出し入れで汗を流していた。
 夕方六時を過ぎると、二人は店を閉めて、近くのスーパーで買い物をする。そして、二人で仲良く手を繋いで、川沿いの白い戸建に戻る。
そんな平凡な毎日の繰り返しだったが、夕方になると、その白い家からは、笑い声が溢れ続けていた。夜空の赤い星は消え去っていたが、月の光が優しくその家を見守っていた。

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